日本人って学校でかなり長い時間英語を習うよね?

でも多くの人が”英語が苦手です”って言うけどホントなの?謙遜しているだけじゃない?

という声をネイティブから時々尋ねられることがあります。

日本人でもこの様な疑問を持っている人が多いのではないかと思います。

たしかに英語教育に携わる人々が集まるとよくこの話題になります。僕なりに考えてみました。

Contents

日本は教育先進国?

日本人の多くは中学・高校と合わせて最低6年間英語を必須科目として学習しています。人によっては大学を含めて10年近くも英語学習しています。

そして学習指導要領の見直しにより2020年からは小学3年生からですので、これからは最大で約14年です。結構な期間ですよね。

加えて勤勉な国民性、識字率は99%。大学進学率は50%を超え、現在GDP世界第3位の先進国でもあります。

しかし、英語力はさほど高くないということは、他国の人々から驚きの声を聞くことも珍しくありません。

世界英語力ランキングでは?

海外留学や語学教育事業などを世界規模で展開するイー・エフ・エデュケーション・ファースト(EF)は英語能力のベンチマークとなるオンラインの英語能力判定テスト「EF SET」(https://www.efset.org/ja/)を元に「EF EPI英語能力指数」を発表しました。要するに国別英語力ランキングですね。

そこで日本の英語能力指数は、世界100カ国・地域のうち53位で9年連続の下落。英語能力レベルは4年連続で「低い」と位置づけられる結果となりました。

因みに主なアジア諸国のランキングは以下の通りです。

シンガポール    :5位
フィリピン    :20位
マレーシア:   :26位
香港      :33位
インド      :34位
韓国       :37位
台湾       :38位
中国       :40位
ベトナム      :52位
日本       :53位
インドネシア    :61位
タイ       :74位
スリランカ     :78位

データから見てもやはり日本の英語力はアジアの中でも低い部類に入ることは明らかですね。

アジア諸国の英語力の高さの背景

英語を母国語としないにも関わらずに比較的英語力の高いアジア地域(フィリピン、シンガポール)の方々から「日本人は優秀と聞いていたが何故英語でこんなに苦労しているのか?」と不思議がられた経験は何度かありました。

確かにフィリピンは歴史的な背景として過去スペインやアメリカの植民地として外では「英語を話さざるを得ない状況」であったため、本来の彼らの言葉(タガログ語等)は主に家庭内や親しい間柄でしか話さなくなっているといった事実があり、民族のアイデンティティーという視点で考えると同情せざるを得ません。

英語ができないのは幸せの証拠?

一方、戦後アメリカの影響力が強い日本において英語を強いられずに日本語だけで全てことが足りる日本人はある意味特殊であり、その環境は幸せとも言えると思います。何と言っても日本語ネイティブは1億人以上いますのでそれだけで優れた文化(漫画、ゲーム、アニメ、音楽等)があり、経済も回っている事実はある意味凄いことです。

しかし現在進行形で進んでいるIT技術の発展もあり、これからは嫌でも国際的な基準で様々な事柄が評価、比較される時代に既に突入しています。

「日本語って美しいよねー♫」などと呑気に自画自賛している内に、周りのアジア諸国では猛烈に英語力やITの発展で生産性が向上し、やがてGDPも追いつかれ、ついには抜かれるかもしれません。

それは日本の先進国からの脱落を意味し、アジアの辺境のガラパゴス国に成り果ててしまうという事です。

以上のような理由から,日本人もそろそろ習い事としてではなく生きていく為のツールとして英語を学んで行く必要性があると感じています。

英語が苦手な理由を考えてみた

少し冷静になって日本人が英語を苦手とする原因を考えてみました。
1. 日本語と英語の文法構成の違い
2. 学校での英語教育がリアルな英語ではない
3. リスニングやスピーキングの学習時間が極端に少ない
4. 文法が言われているほど得意というわけでもない
5. そもそも生きていく上で英語を必要としていない

以上がざっと思いついた事柄です。

ひとつずつ考えてみましょう。

日本語と英語の文法構成の違い

確かに文法の成り立ち(ここでは語順)が違うとそれに慣れる必要がありますので、それだけでハンデに聞こえることはありそうです。

文章を構成する要素として

Ssubject:主語)
Vverb:動詞)
Oobject:目的語)
Ccomplement:補語)

があります。

例えば日本語で「私はリンゴを食べました」という文章を作るとすると、

私(S:主語)はリンゴ(O:目的語)食べた(V:動詞)という具合にSOVという語順になります。(SOV型の言語)

しかし英語の場合は” I ate an apple.” ですので、IS:主語)ateV:動詞)an appleO:目的語)SVOになり日本語とは逆に主語の次に動詞が来る形となります。(SVO型の言語)

このSVO型は英語をはじめとして中国語、フランス語、スペイン語などです。

メジャー感は否めません。要するに大国や戦勝国ですね。歴史を振り返ってもその時代の覇権国の言語がメインとなるのは自明の理だと思います。

こうした理由で、日本語はSOV型の言語であることから、SVO型の英語を学ぶのに苦労するという説は論理的にありえるかもしれません。

本当に文法の形だけが問題なのか?

だからと言って、日本語がSOV型であることが英語を学ぶことに苦労する、一番の原因とも言えないのではないかと思うのです。

何故ならSOV型を基本とする言語は日本語の他にも韓国語、チベット語、アルメニア語、バスク語などがあります。

更に完全なSOV型ではないにせよドイツ語,オランダ語も基本的にはSOV型であり、特にこれらの国は明らかに日本人よりは英語が出来る人口は多いことは明らかだと思います。

因みにおおよそですが世界で話される言語の40%以上はこのSOV型だということですので、決してマイナーな言語体系ではないことが分かります。

以上の理由で、語順の違いが英語習得の主な壁となっているという説は疑問が残るところです。

韓国はどうなるんだ??

もしそうであるならば、日本語と同様にSOV型の韓国の人々はどうでしょうか?

ビジネスの現場の肌感覚でもTOEICの平均スコアでも明らかに日本人より英語が出来るという事実はどう説明できるのでしょうか? 

学校での英語教育がリアルな英語ではない

前述したように2020年から英語教育の義務化が小学3年生からとなり、大学の受験でもスピーキングが加わりましたが、恐らく”これだけでは日本人の英語力はほとんど変化しない”と私は考えています。

なんといってもまずは例文などで登場人物がKenとかHanakoとかなんで日本人同士で英会話してるんでしょうか?

名前なんて関係ないように思えますが、そういう”内向きな世界観”が既に窮屈さを感じます。

それと発音記号ですが、決して軽視するわけではありませんが、結構な時間を割いてあれを教えます。受験でも必ずと言っていいほど出題されるのですが

覚えても実際の会話では単語単体で発音するわけでないので、決して英語の発音は上手くなりません。出題の意図が不明です。

とは言え、発音記号を知っていれば未知の単語を辞書など引いた際にその音を自身である程度理解して発音できますので、もちろんやっておいた方が良いのは確かです。

しかし会話を考えた場合、やはりセンテンス単位でプロのネイティブスピーカーの音声を聞いて真似をすることの繰り返しでしか発音が良くなることは無いと自分自身の経験から感じています。

リスニングやスピーキングの学習時間が極端に少ない

これは文科省の学習要領の責任だとは思いますが、英語をコミュニケーションのツールとしてではなく、いまだにお勉強の対象としてしか扱っていない弊害だと思います。前述した発音記号と同様に試験ありきの勉強という印象です。

そして慢性的に教員不足の昨今、全ての英語担当にスピーキング力を求めることが酷なことは承知済みですが、何も会話が出来なくともお手本のCDなどを聴きながら、二人1組などでロールプレイを行う授業は可能だと思います。

リスニングも同様にただ聞くだけでなく、スクリプトを見ながら積極的に音読することで徐々に聞こえてくるものですので、やはりここでも音読を取り入れるべきです。

音読はすべての基本となるトレーニングです。それは例え文法やリーディングの授業でも取り入れるべきなのです。

文法が言われているほど得意というわけでもない

これは不思議です。

中高ではどちらかと言えば文法やリーディングを中心に学習しているはずなのに、英作文やレポート、ビジネス文章を作成する時、学校でみっちり習ったはずの過去完了や倒置法を用いたり、「a」や「the」といった冠詞の使い分けがあやふやだったり、適切な前置詞を用いて文章を作成できている人がものすごく少ないのです。

難関校を卒業した社会人でさえも簡単なメール文もかなり怪しい人がいます。

なぜか?それはおそらく文法問題を解くための学習だからです。

問題のほとんどが穴埋めや語順の並べ替えです。

したがって多くの英語が得意な生徒はそのパズル的な要素が強い問題を解くことに慣れているという訳です。

このような問題文を正解することが出来ても、その方法だと決して文法を駆使して自分の言いたい文章が書けたり言えたりと言う訳ではないようです。

ここでも音読の不在が見受けられます。

そもそも生きていく上で英語を必要としていない

これを言っては元も子もありませんが、これが一番の原因ではないかと思うのです。

韓国や中国のビジネスパーソン(学生も)が何故英語ができるのか?それは”出来ないと仕事が無い”からです。国内だけでは仕事が無いので英語が公用語のグローバル展開している国内企業か、もしくは欧米の企業への就業を視野に入れざるを得ない為です。よってハンパなく勉強している為と思われます。

どうやらSVOなどの語順を起因とする説はこれで大分弱くなってしまいました(笑)

やはり結局はその恵まれすぎた「環境」が一番の原因なのではないかと思います。日本で生活する限りは英語なんて必要なく社会生活が出来るのです。

多くの日本人にとって英語はツールではなく趣味の範疇からまだ出ていません。

英会話学校も良いですが、学習は週に数回のレッスンで「やった気」になるの非常に危機を感じます。

結論:日本人が英語を苦手とする理由って・・

結論としては

「英語に対して苦手意識を勝手に持っているだけ。ガチでやってないだけ」だということです。

まずは個人が危機感を持ち、机に座って独学を始めることが一番の近道だと信じます。頑張りましょう!

英語が上手くなる決め手はやはり「音読」です。英会話・ぜったい・音読 【入門編】—英語の基礎回路を作る本などを使って英語を身体で覚える感覚を早く掴むことがとても大事です。

ではまた