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まずは大量インプットをすべし!

結論から言えば・・
英語を早く話せるようになりたいという方は、英会話スクールやオンライン英会話などでお金と時間をかけるよりも、まずはしっかりと英文法やリスニングなどの英語学習を徹底的に行うことが言語学などでは証明されておりその方が断然コスパの良い学習ができるということをお話します。
「インプット」「アウトプット」とは?
英語学習における「インプット」とは英単語の暗記や、文法の知識を頭で理解したり、リスニングやリーディングといった、受動的な学習のことを言います。
中学や高校の英語授業はほとんどがこのインプット中心の授業です。
一方「アウトプット」はライティングやスピーキングなど、自ら持っている知識やスキルを運用し、発信するトレーニングのことで英会話スクールやオンライン英会話などが特にこの「アウトプット」を重視した授業となります。
よく日本人が英語を話せないのはアウトプットの練習が足りないからだと言われます。
たしかに、日本の英語教育はインプット中心でアウトプットの機会が少ないため、リーディングやリスニングは得意でもライティングやスピーキングは苦手という日本人は数多くいます。
一方で、ライティングやスピーキングができるようになるためにはアウトプットの練習だけをしていればよいのかというと、実は全くそうではありません。むしろ、言語習得の研究において共通して語られるのはインプットの重要性です。
インプット仮説とは
その先駆けとも言えるのが、第二言語習得研究の分野における第一人者の一人である言語学者のスティーブン・クラッシェン氏が唱えた「インプット仮説」です。
ここでは難しい話はしません。要するにインプット仮説とは、「現在の言語能力より少し上のレベルを含むインプットをすることで、自然に言語を習得できる」という考えです。
英語習得には自分のレベルよりもちょっとだけ難しいものを沢山「インプット」することが重要ということですね。
そこで、今回は第二言語習得の観点から考える「インプット」の重要性と、効果的なインプットのトレーニング方法についてご紹介します。
インプットの重要性

- 話す能力は「インプット量」が決め手
- 中間言語(発展途上の下手な英語)とのギャップに気づくことができる
- 予測文法が身につく
1. 話す能力は「インプット量」が決め手
クラッシェンの理論では、「英語を話せるようになりたいから、英語をたくさんアウトプットする(発話してみる)」は意味のないことだといえます。
話す能力は、あくまでもインプット(自分の頭で理解したもの)から得られるもの。言い換えれば「インプットしたものしかアウトプットできない」ということです。
インプットが積み重なったその先に優れたアウトプット(話せる、書ける)があるといいます。
ですので、アウトプットの力を高める方法は、インプットの絶対量を増やすか、インプットした情報を引き出す能力を高めるかのいずれかしかありません。
アウトプットのトレーニングは後者の能力を高めるうえでは効果的ですが、そもそものインプット量が少ないと、いくら引き出す力を伸ばしてもアウトプットの力には限界が来てしまうのです。
2. 中間言語の修正力
第二言語習得研究では、まだその人の語学力が発展途上な状態で使用する不完全な言語(ここでは要するにあまり流暢ではない英語)を「中間言語」と呼んでいます。
例えば文法や発音や文法、単語の選択が間違っていたりする状態で「なんとか」英文にしている言語のことを指します。
インプットのトレーニングを行うメリットは、この自分自身の現時点での語学力である「中間言語」と、習得を目標とする「第二言語(英語)」とのギャップに気づいてそれを少しづつ修正してネイティブの話す本物の英語に近づいていくことが出来ます。
3. 予測文法が身につく
インプットのトレーニングもたらす3つ目のメリットは「予測文法」が身につくという点です。
「予測文法」とは、特定の文章を見たり音声を聴いたりしたときに、相手の言葉の先を予測する能力のことです。
例えば、ある程度英語を学んだ方であれば、「I gave him..」という言葉を聞いた瞬間に、ネイティブはその次を「何をあげたの?」と次に続く「目的語」に集中することが出来ます。
また、海外でファストフードやカフェで注文をするたびに店員に「For here? or to go?(店内か、テイクアウトか)」と聞かれます。
最初は早くて容赦のないスピードだと感じても、何度か同じセリフを聞くうちに全ての単語がしっかり聞き取れなかったとしても、会話のシチュエーションから言っている意味が予測できるようになります。
このように、人は言葉を聞いたり読んだりするときに次にどんな内容が来るのかを常に仮説を立てながらインプットしており、同時にその仮説を検証するという作業を繰り返しています。
これらの予測力(予測文法)は当然リスニング力に直結する大事な能力です。
大量のインプットを通じて予測文法を身につけることができれば、インプットのスピードも上がりますし、インプットした情報の意味の理解により多くの意識を傾けることができるようになり、リーディング力やリスニング力は高まります。
効果的なインプット中心学習法

具体的にインプットのトレーニングを行うときは、どのような点に注意すればよいのでしょうか。第二言語習得の観点から、効果的なインプットを行うためのポイントを6つご紹介したいと思います。
- 少しだけレベルが高い教材を使う
- 興味があるテーマの教材を使う
- 無意識ではなく意識してインプットする
- きちんと文法を理解する
- インプットした情報を確認する
1. 少しだけレベルが高い教材を使う
インプットを行う際は「自分のレベルよりも少しだけ高いレベルのインプット」を行うことが重要です。
リスニングでいえば、全てを完全に聴き取れる教材を何度も聴いても効果はありません。だからといってほとんど何も聴き取れない難解な教材を聴くのも非効率となります。
自分のリスニング力では8割は理解できるけれども2割分からないところがあるぐらいの教材を選び、分からなかった2割を何度も繰り返し聴き、スクリプトで確認しながら確実に聴き取れるようにしていくことが重要です。
2. 興味があるテーマの教材を使う
教材を選ぶ際は、自分の仕事や生活と関わりが深く、興味が持てるテーマの教材を使用するようにしましょう。
第二言語習得研究においても「動機付け」は言語習得において重要な役割を果たしていることが分かっています。
自分が「面白い」と感じるテーマや、仕事などで実際に学ぶ必要性があるテーマを教材に選ぶことで、同じ時間でもより効率的にインプットができるようになります。
4. 無意識ではなく意識してインプットする
第二言語習得研究では、人は意識してインプットすることではじめて情報を短期記憶にとどめることができ、次の「理解する」というフェーズに移行することができると言われています。
ですので、英語学習においてもただ闇雲にのインプットを増やすのではなく、「意識したインプット」をどれだけ増やせるかによってその後の上達に大いに関係してきます。
例えばリスニングのトレーニングを行っているときは、ただ無意識に聞き流しているだけよりも、聴こえてくる英語の一言ひとことにしっかりと注意を傾けながら集中してリスニングを行うほうがはるかに効率的だということです。
5. きちんと「文法」を理解する
インプットした情報はその内容をしっかりと理解してください。意識してリスニングをしていれば、意味が分からなかった箇所や聴き取れなかった箇所が明確になります。
分からない箇所を明確にすることがまずは第一ステップです。次にそのわからなかった箇所をスクリプトなどを見ながらしっかりと意味と構造(文法や単語)の理解に努めることが非常に大事です。
さらに「a」や「the」の使い分けや複数形、単数形といった文法も含めて文の構造を正しく理解できており、聴き取った内容を自分で再現できてはじめてこの「インプット学習」の効果を実感できると言えます。
リスニングであれば、インプットした情報をこの深い理解の状態に到達するまで聞きこむことが重要です。
6. インプットした情報を確認する
深い理解に到達しているということは、すでにインプットした情報に対する仮説が立てられる状態になっているということです。
ここまでいけば、次は自分が立てた仮説が正しいかどうかを検証するトレーニングを行います。リスニングであれば、聴こえた文章を復唱してみて、それを実際のスクリプトと見比べてみるといった方法です。
実際に見比べてみると、定冠詞の「the」が抜けていたり、複数形を間違えていたりといった細かいミスに気づきます。
このような「取るに足らないような細かいミス」にも気を払って自分の考えた「仮説」とのギャップを埋めていく作業が大事なのです。
こうした小さなギャップをひとつひとつ解消できるようにトレーニングを重ねていくことで、徐々に自分の頭の中にある英語のデータベースがより正しい内容へと更新され、音、意味、スペル、構造の全てがしっかりと結びつくようになり、インプットした情報を自動的に正しく処理できるようになります。
まとめ

最後に本記事における大事な事柄を簡単に振り返ります。
- 英語の上達はインプットの量に比例する
- 教材は文法が理解できる範囲で「少しだけ高いレベル」のものを使う
- リスニングでは「自分が聞き取ったものとその正解の内容の精度」にこだわる
以上となりますが、今後も英語学習を頑張っているあなたにとって有益な情報をお伝えしていきますので、よろしくお願いします!
ではー👋