「英語は学生時代にやっただけで殆ど覚えていないよ・・」「大人になってあらためて英語を本気で学習しようと決意を新たにした」。だけどもういい年だしまだ間に合うかな・・?」

大丈夫です。

英語学習は忙しい社会人になってもやるべきことをきちんとポイントを抑えてやれば誰にでも上達できます。

特に使える時間が限られている社会人の英語学習は、ただがむしゃらにやっても効果が期待できません。効率性が重要です。

特に学習する順番を間違えると「TOEICの点数は上がったけれど、話せない…」、「英会話スクールにずっと通っているけど全然上達しない…」ということになりかねません。

今回は特に英語学習の初心者の社会人の皆さま向けに、英語を効率的に習得するための英語の勉強の順番についてお話します。

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英語の勉強はインプットからアウトプットへ!

インプット(Input)とは「読む」ことと「聞く」こと。アウトプット(Output)とは「話す」ことと「書く」ことです。

これら「読む」「聞く」「話す」「書く」の4つを、言語の「4技能」と呼ぶびます。英語を習得するには、この4つの「技能」を身につける必要があるのです。

では、これから英語の学習を始める場合はどのような順番で勉強すればよいのだろうか。

とにかく大量のインプットをしよう!

英語学習を始める前は空っぽの箱のようなものです。中に何もないと何も取り出すことが出来ない。

英語の習得も同じことで、まずはあなたの脳に英語を入れないと、英語を出すことはできません。

つまり、まずは読んだり、聞いたり(インプット)することで、頭の中の英語の量を増やすこと。そうすれば、話したり、書いたり(アウトプット)できる量も増えてくるというわけです。

米ピッツバーグ大学言語学教授の白井氏は「学習開始時には100%インプットでかまわない」と指摘していますが、私の長期に渡る英語独学の経験からもそれはかなり同意します。

いきなり英会話スクールは絶対にダメ!

仕事で英語が必要になったから、いきなり英会話スクールやオンライン英会話を始めたという人も多いと思います。しかし、それは間違いです。英会話スクールやオンライン英会話は、主に英語を話す(アウトプット)練習をする場所と認識する必要があります。

英語のインプット不足でスピーキングの練習をしても全くの無駄になってしまいます。

英語のライティングやスピーキングにおいては、間違った発音や単語、文法の選択をしたとしても意味だけは正しく相手に伝わることがよくあります。

英語の「化石化!?」に注意

しかし、意味が伝わったからといって間違った英語を何度も話していると、誤った言語規則を習得してしまう「化石化」という現象が起こります。

「化石化」とは、例えば、単語・文法の基本的な知識がないうちに「自分流」に、単語も文法もめちゃくちゃな「変」な英語を作って話すことにより、その「変な英語」が記憶に残って「クセ」として頭に刻み込まれてしまいその結果、何度も同じ間違いをしてしまうという現象のことです。

この化石化が起こると、誤りを正すのに長い時間がかかってしまいます。

そのため、アウトプットのトレーニングをするときは、できるかぎり相手からフィードバックがもらえる環境で行うようにしましょう。

例えばオンライン英会話であれば、間違った発音や単語の使い方をしたときはその場で指摘してもらうようにあらかじめ講師にお願いしておくなど、アウトプットの「量だけではなく質」にも意識を向けたトレーニングを行うことが重要です。

TOEIC高得点でも英会話が出来るとは限らない?!

英語はまずは大量のインプットが重要であり、独りよがりなアウトプットを重ねても変な英語(化石化)なってしまうことはわかっていただけたと思います。

しかし一方でインプットだけでは英語は習得できないこともまた事実です。

例えば社会人で英語を学習するといえば多くの人はまずはTOEICを思い浮かべるでしょう。

しかしTOEIC(LR)は、聞くことと読むことの能力しか判定することができません。

つまりインプットの能力しか判定ができないのです。

あまりTOEICに特化して聞くことと読むことだけの勉強をしていると、TOEICの点数は高くなったけれど話せないから仕事で全く使えないということになってしまうという悲惨な状況となっている人もかなり多いのが事実です。

実際そのような方は非常に多いので気をつけて下さい。

このような「TOEICの専門家」にならないよう、インプットがある程度進んだら徐々に「話す」ことと「書く」ことの練習も取り入れていくことだ。

英語独学で本当に上達するには「大量のインプットと少量のアウトプット」を心がける必要があります。

2. 英語の勉強やることリスト|単語・文法・発音・流暢さ・社会言語要素

それでは、英語を効率的に習得するには具体的に何をどのような順番で勉強すればよいのかをご説明しよう。

英語を習得するためには5つのことをカバーする必要があります。

  1. 単語(Vocabulary)
  2. 文法(Grammar)
  3. 発音(Pronunciation)
  4. 流暢さ(Fluency)
  5. 社会言語要素(Sociolinguistics)

下の図は、外国語教育の専門家であるセオドーレ・ヒッグス(Theodore Higgs)による有名な「ヒッグス・グラフ」です。

上記の5つの学習項目の学習レベル別重要度を表している。

学習レベル別重要度
グラフデータ引用元:Best of Bilash

上記ヒッグス・グラフを見ると学習の初期の段階(0~2)で重要なのは、

「単語、文法、発音」であることが分かります。

(一日に100分英語を学習するとして、単語の勉強に45分間、文法に25分間、そして発音の勉強に20分間、というイメージ)

ですので「英語を話せるようになりたい!」「今度こそ英語をやり直そう!」と思った時にまずやるべきことは、いきなり英会話のレッスンを受けたり、聞き流すだけのリスニング教材を買ったりすることではなく

  • 「知っている、使える英単語を増やす」
  • 「基本的な文法を復習する」(高校1年生までの文法で十分です)
  • 「正しい発音が出来るようトレーニングする」

つまり、英語の基礎力を強化することなのです。

ヒッグス・グラフを見ると、その中でも「単語」と「文法」が圧倒的に重要なことがわかります。

よって、まずは単語を覚えなければ何も始まらないということだとわかります。

そして、基礎力がある程度ついて来たら、単語と文法にかける時間を減らして、その分

オレンジ(流暢さスピーキング・リスニング)と黄緑色(社会言語要素習得)に時間をかけていくというイメージです。

これら5つの学習項目について、それぞれの詳細と学習の順番についてご説明しよう。

英単語を覚えないと何も始まらない!

ヒッグス・グラフは、学習初期の段階では、総学習時間の最低でも45%を単語学習に費やすことを推奨している。まずは単語を覚えましょう。効率的に単語を習得する順番をご紹介する。

中学レベルの英単語はバカにできない

中学で習う英単語の数は約1,100語です。すべての英語学習者はこれらの1,100語を何よりも先に覚えなければいけません。なぜならこれらの超重要単語はこれから最も多く出会う単語たちだからです。

また、超重要単語はいろいろな意味を持つ場合が多いので、一つの日本語の訳語を覚えていても全く役に立たないことが多いのです。

句動詞は英会話上達のキーポイント

例えば、give は「与える」と覚えている人も多いと思います。

しかしgive a cough「咳をする」give a cry 「叫び声を上げる」give trouble「困らせる」などの動詞を前置詞とくっついて様々な意味に派生するものを「句動詞」と言いますが、ネイティブの普通の会話ではこのような基本的な動詞を活用した表現が頻出します。

今まで受験勉強などを頑張ってきた人は「埋め合わせる」という意味で “compensate”を使いがちです。しかし日常会話では主に” I’ll make up to you.”などと “make it up”[埋め合わせをする、償いをする] を使います。

この「give」のような超重要語は「深く」学習しなければならない。最初は「与える」という訳語だけ覚えておき、「与える」で意味が通らない場合は、まずはその意味を想像してから、辞書で調べるようにするとよいだろう。

おすすめ単語集はデータベース1700使える英単語・熟語 です。

中学1年〜高校1年までに習う絶対に必要な超重要語ばかりを掲載しており、¥850+税と価格もお手頃なので、英語初級〜中級者におすすめです。

最重要語3,000語を覚える

日常会話やTOEICは最重要語3,000語で約90%をカバーできると言われています。

ですので、この3,000語を第一段階の目標にしてほしいと思います。この最重要語3,000語は、理解できるだけではなく、自分でも使えるようにする必要がある単語です。これらを自分で使えるようになれれば自分の言いたいことは自由に表現できるようになるでしょう。

ではどうすれば効率よく英単語を覚える事ができるでしょうか?もしかしたら受験の時のように、一語一語を単語帳に書いてペラペラとやっている人なんていませんよね?

試験が目の前に迫っている、さらに過去問を研究しており、ある程度は出題が予想できるのであればその方法でも記憶にギリギリに留めておくことは可能かもしれません。

しかしここでは本当に世の中で通用する英語をマスターしたい人にとって役に立つ情報しかお伝えしておりませんので、そういった方法はおすすめしません。

リアルに英語を上達させたいのであれば、英単語は例文で覚えてください。

その方が脳に定着することが脳科学(神経科学)研究から解明されているからです。

おすすめ単語集はDUO(デュオ)セレクト: 厳選英単語・熟語1600 です。

姉妹版であるベストセラー単語集のDUO 3.0 (日本語) から必須単語を厳選した単語集だ。例文で覚えられる形式になっています。

英英辞典で効率的に語彙力を強化しよう

ここまできたら基礎は完成していますのであとは今まで学習した単語を使えるようにしていくことと、徐々に理解できる単語を増やしていくことにフォーカスしましょう。

今まで学習した単語を使えるようにするには自分で実際に使ってみる(アウトプット)ことが大事です。オンライン英会話で意識的に覚えた単語を使ったり、英語で日記を書くなど、徐々に「話して書く」機会を増やして行きましょう。

Longman English Dictionary

更に単語数を増やすには英英辞典を使ってみて下さい。英英辞典を活用すれば単語力は飛躍的にアップします。

代表的なLongman Dictionary of Contemporary English オックスフォード現代英英辞典 は最重要3,000語以内の英単語で書かれておりビギナーでも十分使いこなすことができるはずです。

英英辞典を使うのはちょっと気がひけるという方は上記でご紹介したDUO 3.0 をやってみて下さい。

基本的な英文法を理解する

「今さら中学の文法なんてやる気が起きないよ・・」そんなことでは絶対に英会話はもちろんTOEIC600点も取れるようにはなりません、

考えて見て下さい、必要なのは「中学英語の文法」ですよ。

上記で触れた「ヒッグス・グラフ」では、学習初期の段階では総学習時間の最低でも20%を文法学習に費やすことを推奨しています。

忙しい社会人にとっては例え10分でも貴重な時間です。ですので効率的に英語を習得したいのならば、まずは基礎的な文法の学習が必須であることは確かです。

中学英文法で自分の言いたいことは自由に言える!

英語でコミュニケーションできるようになるためには、大学受験の英語の試験に出てくるような難しい文法は必要ありません。特に英会話では難しい文法は無視して構わないです。

中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。

まずは中学で習う基本を理解することから始めよう。おすすめは中学 英語を もう一度ひとつひとつわかりやすくです。「大人のやり直し英語」でも十分に興味を持続して最後までやり遂げることが出来ます。

説明もわかりやすく練習問題も多く掲載されているので、効率的に中学英語の文法を理解し定着させることができます。

自分の言いたいことを自由に表現するにはこの一冊を徹底的に使い倒しましょう。

徹底的な音読でアウトプット練習

ここまできたら英文法の基礎は完成した。単語同様徐々にアウトプットを増やしていき、自分でも無意識的に使えるようにしていきましょう。

文法知識を使えるようにするためのアウトプット練習のおすすめはやはり「音読」です。文法知識をインプットしたらそれらを実際に使えるようにするには音読を繰り返すことで「英文を頭ではなく身体で」覚えます。

本当に使える英語をひたすら音読するにはどのような教材で学習すれば良いのでしょうか。

おすすめなのが一億人の英会話 (東進ブックス) です。画期的な文法書としてベストセラーとなった一億人の英文法 の続編として「英会話」にフォーカスしたものです。

英会話で必要となる主なパターンを繰り返し音読することで、日本人が苦手としてきた語順・表現を体で覚えることが出来ます。

自分の言いたいことを表現するにはまずは中学文法で十分だと述べましたが、ネイティブ・スピーカーは中学文法だけでは話してくれません。余裕があれば徐々に高校レベルの英文法を少なくとも「頭で」理解できるようにしていきましょう。

上記で紹介した中学 英語を もう一度ひとつひとつわかりやすく。の高校英語バージョンであるこの教材

高校 英文法を ひとつひとつわかりやすく。が大変おすすめです。

TOEICはリアルな問題を何度も解く!

ここまで文法をしっかりと学習してきたのであれば、この時点でTOEIC730点程度を取ることは十分可能です。

さらに高得点を目指すのであればTOEIC対策も必要となります。そこでTOEIC文法対策問題集を一冊仕上げることをお勧めします。

TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問 です。

これを使って「とにかく沢山」問題を解くことに注力しましょう。本書はTOEICの専任講師が「いかにも出題されそうな」文法問題(パート5のみ)を選んだものです。

TOEICで700点台をコンスタントに取ることが出来たら是非やってみてください。

最後に「社会言語要素」とは?

社会言語要素とは言語と文化が密接に関係している要素です。英語の場合は「英語圏での常識」のようなものです。

例えば、日本企業では上司のことをファーストネームで呼び捨てにすることは許されないが、英語圏の会社では許されるというような「文化の違い」。あるいは「地下鉄」はアメリカでは”subway”だが、イギリス英語だと”tube”という「言語の違い」です。

このような社会言語要素は英語力が高くなればなるほど要求される知識ですが、一般的な英語教材は英語を「スキル」として扱い、学習者の英語力向上を1番の目的としているために、必ずしも十分に「社会言語要素」までカバーしている教材が多いとは言えません。

実践ビジネス英語で「社会言語要素」を学ぶ

やはり英語圏での生活経験がないと「社会言語要素」は獲得できないのでしょうか?

英語をしゃべること自体は問題がないのに常識的なことを知らないと、コミュニケーションが円滑に進まなかったり誤解が発生したりすることは避けたいものです。

意識して使う教材を選べば日本でもある程度は英語と一緒に「社会言語要素」を学ぶことは可能です。

そこで私が数多くやってきた英語教材の中で、特におすすめしたいのが「NHKのラジオ講座」です。

その中でもNHKラジオ実践ビジネス英語はアメリカやイギリス、カナダ、オーストラリア出身の登場人物がビジネスやそれらの文化背景にまで渡って会話を繰り広げるので英語の学習だけでなく「最新の英語圏での興味深いトピックス」を自然と学ぶことが出来ます。

英語力がついてきて外国の方々とコミュニケーションする機会が増えてきたら、アメリカやイギリスに限らず、コミュニケーションをとる人の国の文化も意識するようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?現在社会人の方や主婦の方であっても、きちんと手順を踏んで英語学習の「ポイント」を外さない学習を行うことで誰にでも英語が上達出来ることを理解していただけましたでしょうか?

それでは今回の記事をまとめてみたいと思います。

  • 英語学習はインプット(読む、聞く)とアウトプット(話す、書く)の英語の4技能があるがこれらをバランス良く、かつ学習する順番が大事。
  • ビギナーのうちはとにかくインプット中心の学習を心がける。いきなり英会話スクールに通うのはコスパが悪い。
  • まずは最重要の英単語3,000語を覚える。
  • 文法は超重要。まずは中学文法を自分で使えるようにすること。そして、それ以外のよく使用される重要文法に集中する。
  • 発音学習も手を抜かない。日本語にはない発音、英語独特の音声変化やリズムは自分でもそっくりまねて発音できるようになればリスニング力も向上する。
  • 音単語・文法・発音の基礎知識を習得したら「英語脳」を作り強化するトレーニングも開始しよう。それには音読を繰り返しやること。
  • 英語を単にスキルとしてだけではなく、本当に通用するものとするには英語圏の文化を深く知ることが大事。

以上となります。

これからもあなたの英語学習ライフが充実したものとなるよう、有益な情報を発信して参りますのでよろしくお願いいたします。ではー👋